フリーランスのメリット・デメリット

フリーランスのメリット・デメリット

フリーランスとして働くことは、 会社員やアルバイトとして働くことと比較した場合、 いくつかのメリットとデメリットが存在します。

これは、 フリーランスになるということが、 時間に対して給与が支払われる労働者から、 自分の裁量によって全てが決まってしまう起業家(個人事業主)となるためです。

ここでは、フリーランスになろうと考えている人を対象に、 フリーランスに関わる一般的なメリットとデメリットを紹介し、 ご自身がフリーランスと会社員(アルバイト)のどちらの方が向いているのか、 判断しやすいようまとめています。

また、実際にフリーランスとして働いている人の感想、統計については、 フリーランスという生き方は満足度が高いのか?をご参照下さい。

時間と場所

■メリット
  • 毎日を好きな様に、スケジュールできる
  • どこでも仕事ができる
  • 住居をオフィスにする場合、家賃の半分を経費にできる
  • 通勤時間から解放される
  • 会社員特有の無駄な時間(会議、稟議書作成、サービス残業など)から解放される
■デメリット
  • 仕事と個人的な時間を区別できなくなる
  • 家だと仕事に集中できない場合がある
  • 時間管理ができないと、仕事と収入が減る
  • クライアント開拓、経理など、専門外の物事に時間を取られる


フリーランスになった人の満足度調査において、 最も満足度の高い項目が、 この「時間と場所の自由」です。 (詳しくは、フリーランスという生き方は満足度が高いをご参照下さい。)

気分がすぐれない時には、 お昼まで寝るという選択ができるほか、 うまくスケジュールすることで、 会社員にはない、 数週間のまとまった休みを取ることも可能です。

また、子供が小さい主婦・主夫やご両親の介護など、 一定のまとまった時間が取りづらい人にとっては、 むしろフリーランスでしか働けないケースもあります。

実際に、 フルタイムのフリーランス人口の割合が労働人口の14%を占めるアメリカ(※1)では、 フリーランスの労働時間は40時間未満/週(※1)で、 また、日本でも同様に、 フリーランスの75.7%が8時間以下の労働時間(うち、主業は82.7%)であり、 一般的な会社員よりも少なくなっています(※2)。

一方、 時間を作り出さないと、仕事量とそれに伴う報酬が減ってしまうため、 スケジュール管理、自己管理が苦手な人にはフリーランスは向いていません。

人、付き合い

■メリット
  • 不要な付き合い(飲み会、雑談、その他会社行事)、気遣いから解放される
■デメリット
  • 営業が必要になることがある
  • 自宅で働く場合、孤独に陥ることがある


フリーランスでは、 個人が無駄だと感じる人付き合いが少なくなります。

これは、本当に不要だと考える人づきあいが減ること以外に、 フリーランスになった人そのものの意識が変わるためで、 対象者が同じであっても、 無駄話や飲み会が、「個人のため(営業、接待)」という意識に変化するためです。

この背景には、 フリーランスの課題の筆頭として挙げられる「顧客の確保(41%)」(※2)、 「フリーランスの35%がわずか1社しか取引先を持たない」(※3)などのほか、 「営業活動に割く時間と、 好条件の契約金額に相関関係がある」(※2)ことが示されているためで、 より多くの収入を得たいと考える人には、 人付き合いそのものはむしろ増える可能性があります。

他方、 仕事によっては、 クラウドサービスの発達により、 オンラインで全てが完結してしまうため、 人付き合いそのものが完全になくなり、 孤独に陥ることもあります。

仕事の変化

■メリット
  • 好きなこと、やりたいことができる
  • 全て自分で意思決定できる
  • 専門性が高くなる
  • 希望のキャリア、起業などを手に入れることができる
  • 労働時間が短い(作業の効率化、無駄時間の削減)
  • 能力の向上に励む
  • 定年後も働き続けることができる
  • 会社政治(出世、派閥)から解放される
■デメリット
  • 収入が不安定(仕事がない)
  • 将来の不安から、仕事を断れなくなる
  • 仕事を得るために、自分を安売りしてしまう
  • 特定の取引先、仕事に依存し、成長が止まる
  • 請負業務に集中し、仕事内容が会社員時代と変わらない


フリーランスになった人の満足度として高い評価を受けているのが、 仕事そのものに対する満足度です。

仕事の自由度、裁量、内容、やりがい(満足度2位 ※5)を含めて、 フリーランスから多くの支持を得ており、 「会社員には戻りたくない」という割合は9割にも及びます(※3)。

他方、 フリーランスの不安の筆頭に挙げられる「収入に対する不安(89%)(不満足1位)」(※2、※5)から、 安い単価で仕事を引き受けたり、 来る仕事を全て引き受けて会社員時代よりも忙しくなるといった、 フリーランスの良い部分を無くしてしまうこともあります。

お金(収入)

■メリット
  • 無限の収入の可能性
  • クラウドサービスの発達により、仕事が見つけやすくなった
■デメリット
  • 健康保険料が会社員と比較して高い
  • 将来貰える年金が少なくなる
  • 有給休暇がない
  • 退職金がない
  • ボーナスがない
  • 税金の種類と金額が増える
  • 債務・借金(事業内容による)


収入に関しては、フリーランスを生業(フルタイム)とするか、 副業とするかで評価が大きく異なります。

フリーランスを副業とする人では、 「少しでも家計の足しになれば良い」と考える人が多く、 それほど収入は重要ではありません。

しかし、フリーランスを生業とする人の場合、 「収入」は最も不満がある項目の第1位となり、また、フリーランスをしている人の89%が、 収入に対して不安を抱えています(※2)。

これは会社員の年収と比較して、 平均値、中央値、最頻値の全てにおいて少ないためです。 詳しくは、 個人事業主の平均年収・中央値など をご参照下さい。

また、フリーランスは、 自身の営業努力以上に、 フリーランサーが取引先企業に対して交渉力を持たないことや、 収入に対する不安から、 自分自身を安売りしてしまうことなどが原因と考えられています。

一方、アメリカでのフリーランス実態調査(※1)によると、 前職よりも収入が増加した人の割合は55%存在し、 日本でも、フリーランスを取り巻く環境の変化により、 改善される可能性があります。

また、支出においては、 会社員との所得控除の違い、 高額な健康保険料、 個人事業税という税金の種類の増加により、 年収に対して、手取り収入は大幅に減ってしまいます。

詳しくは、自営業(個人事業主)の年収1,000万円と会社員の年収1,000万の違いをご参照下さい。

そのため、フルタイムのフリーランス、個人事業主の場合、 節税対策は必須となっています。詳しくは、自営業(個人事業主)の節税対策をご参照下さい。

社会構造・環境

  • フリーランスを活用することは、会社にとってメリットが大きく、今後需要増加が見込まれる
  • クラウドサービスの登場により、フリーランスの最大の欠点である顧客創造が容易になる
  • キャリアパスとして、フリーランスという生き方が認められつつある
  • 従来の雇用維持に重点を置いた労働政策から、労働移動支援型に舵が切られた


フリーランスの先進国であるアメリカでは、 フルタイムのフリーランス人口の割合が労働人口の14%(副業を含めると フリーランス人口は 5,500 万人、労働人口割合でも35%)にまで達しており(※1)、 今後も増加が見込まれています。

一方、日本のフリーランス人口は、 アメリカと比較すると未だ数は少ないものの、(1,064万人(労働人口の16%。副業を含む))(※4) 政府施策や民間サービスの発展を通じて、 フリーランスの環境も良い方向に変化していくと考えられます。


参考:
※1:2016年 アメリカフリーランス実態調査 upwork
※2:2015年 中小企業庁「小規模企業白書」
※3:2015年 政府税制調査会「フリーランサーの増加基調を中心に」
※4:2016年 ランサーズ「フリーランス実態調査2016年版」
※5:フリーランスという生き方は満足度が高い

先頭へ
メニュー・目次一覧へ

概算額と計算シュミレーション

ファイルサイズが100KBを超えるページは端末のCPUに依存するものの、読み込みに多少お時間がかかります。
ご迷惑をお掛け致しますが、読み込みが完了するまでしばらくお待ち下さい。


このエントリーをはてなブックマークに追加