国民健康保険はなぜ高いのか

国民健康保険とは

国民健康保険とは
国民健康保険とは、民間の健康保険組合や協会けんぽに加入できない全ての人が「強制加入」しなければならない地域保険です。

言い換えると、生活保護受給者を除き、学生であろうが、無職であろうが、外国人であろうが、 他の健康保険に加入する資格がない場合、残念ながら加入せざるを得ません。

個人事業主はもとより、社会保険が用意されていない会社員や扶養から外れたパートタイマー、アルバイトの場合、ほとんどがこの国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険はなぜ高いのか

会社員から個人事業主に転身した場合や、他の事由により国民健康保険に加入した時に、 最も驚くのが国民健康保険の金額です。
国民健康保険はいくつかの理由により、他の健康保険料よりもその料金が高額になります。
以下、国民健康保険と他の健康保険(組合健保、協会けんぽ、共済組合など)と比較した場合、なぜ国民健康保険料が高額になるかの理由です。

会社負担がない

会社員が加入する組合健保や協会けんぽ、公務員が加入する共済組合などは健康保険料の半額を会社が負担してくれることが多くなっています。(※全てではありません)
しかし、個人事業主が加入する国民健康保険は全額自己負担です。
そのため、健康保険の負担額が同じ場合、国民健康保険料の金額は単純に2倍になります。

大手企業の場合、福利厚生の側面が強い

健康保険は同業種で作られることが多いものの、一部の大企業は単独あるいはグループ企業のみで健康保険組合を作っています。
そのため、組合の採算性よりも、従業員への福利厚生の意味合いが強く、 健康保険料が国民健康保険料と比較すると非常に安価になっています。

扶養人数に応じて金額が変動する

会社員が加入する組合健保や協会けんぽ、共済組合は配偶者の有無、扶養人数によらず、 多くの場合世帯主の月額給与のみで健康保険料が決まります。(厳密には標準報酬月額)
しかし、 国民健康保険料は加入人数に応じて金額が変動します。(※均等割または加入人数割りと言います。)
そのため、国民健康保険は配偶者の存在や、扶養人数が多いほど高額になります。

各自治体によって料金の差が大きい

国民健康保険料は各自治体がその地域に住む国民健康保険加入者の医療費を負担する意図で徴収するものの、 その料金の差は自治体によって、非常に大きな差があり、高い地域は低い地域と比較すると2倍近く料金差があります。
詳しくは国民健康保険料が高い自治体ランキングをご参照下さい。
この料金の差が発生する原因は不明であるものの、 高い地域の場合、家賃以上の負担になることも珍しくなく、個人事業主の場合、どこで開業するかを決める一要因となるかもしれません。

計算方法が異なる

国民健康保険料は前年の所得によって決まります。
反面、他の健康保険料は当月の給与額(厳密には標準報酬月額)によって決まります。
そのため、会社員から個人事業主になった場合、会社員時代の年収に応じた国民健康保険料を支払う事となり、 高額に感じてしまいます。
ただし、無職になった場合、減免申請をすることで、国民健康保険料を減額してもらえます。

上限がある

上記だけを見ると国民健康保険料は他の健康保険料と比較すると高額になる特徴がありますが、 国民健康保険料には上限額が設けられています。(他の健康保険の多くは上限がありません。)
そのため、ある一定以上の年収(所得)になると、健康保険料が増えないため、所得に占める割合は小さくなります。

言い換えると国民健康保険は低所得者には負担が重く、高所得者には負担が小さい制度といえます。
広島市や神戸市など国民健康保険料の高い地域では、年間所得500万で国民健康保険料の上限(健康保険料:67万円、介護保険料14万円 平成26年の場合)に達します。

加入・脱退手続き

国民健康保険は強制加入のため、健康保険組合や共済組合などを脱退した場合やご両親の扶養から外れた場合には必ず加入しなければなりません。
ここでは会社勤めから無職あるいは個人事業主になった場合を例に加入・脱退手続きについて解説します。

会社をやめて無職になる場合

会社をやめて無職になった場合、任意継続(以前勤めていた会社の健康保険組合に加入)と国民健康保険への加入という選択ができますが、 新しい職場が決まっていない場合、 国民健康保険に加入し、 離職票を持って減免申請する方法が最も保険料が安くなります。
ただし、自治体によって減免申請が通らない場合もあるため、事前に市区町村へ問い合わせが必要です。

また、個人事業主の場合、すでに開業することが決まっている場合は、 たとえ売上がない準備期間でも減免申請に必要な離職票の発行すらしてもらえない場合があるため、注意が必要です。

会社をやめてすぐに開業する場合

会社をやめてすぐに個人事業主として開業する場合、厳密な計算が必要になります。
国民健康保険は前年の所得によってその金額が決まることや、国民健康保険は自治体によって料金差が大きいため、 お住まいの地域によっては任意継続のほうが安くなる場合もあります。
各自治体の詳しい保険料率は国民健康保険料 高い自治体 ランキングや、 個人事業主 税金・社会保険料計算シュミレーションをご参照下さい。

無職あるいは学生から個人事業主になる場合

無職あるいは学生から個人事業主になる場合、当年の見込み年収130万円以上がご両親の扶養から強制的に外れる目安となります。
そのため、130万円を超えると強制的に世帯主となり、かつ、国民健康保険に加入することになります。

130万円未満の場合、 ご両親の所得にご自身の所得が合算され健康保険料が請求されることとなりますので、 ご両親の所得と合算した場合に請求される健康保険料と、別々に計算した場合に請求される健康保険料を比較する必要があります。
ただし、国民健康保険の計算式は上限額が決まっていることや世帯割(以下、計算式参照)という制度があるため、 概ね扶養のままのほうが国民健康保険料は安くなることが多いようです。
厳密な計算が必要な場合、個人事業主 税金・社会保険料計算シュミレーションをご参照下さい。

遡及加入

加入を忘れ、医療機関を利用するときになって初めて加入する場合、 健康保険料を払っていない期間を各自治体が把握しているため、その時期まで遡って健康保険料を徴収されるものの、 加入することが可能です。

脱退するには

新たな健康保険組合に加入する場合や、国民健康保険を脱退するには新しい保健証と印鑑を保険料を収めていた自治体(区役所、村役場など)に持っていくだけでokです。
1年分を8回あるいは10回に分けて払うため、未経過分の保険料は返金してもらえます。
詳しくは、各自治体のホームページをご参照ください。

国民健康保険料の計算式

各自治体が運営する国民健康保険料は計算式は同じであるものの、計算に使われる以下3つの定数は自治体(市・区)によって大きく異なります。
  • 所得割率・・・所得に応じて課される税率
  • 均等割額・・・加入人数に応じて課される額
  • 平等割額・・・1世帯あたりに課される定額

国民健康保険料の額が高い自治体については、国民健康保険料 高い自治体 順位をご参照下さい。

国民健康保険料の計算式



「医療分」、「後期高齢者支援分」、「介護分」それぞれに「所得割」、「均等割」、「平等割」が加算されます。
「所得割」、「均等割」、「平等割」に適用される率と金額は各自治体jによって異なります。
具体的な料率と金額は自治体別 国民健康保険料率 一覧以下をご参照下さい。

支払い方法と支払月

支払い月は概ね6月から1月までの8回払い、または、3月までの10回払いです。
支払い方法は振込(郵便局、銀行、コンビニ)か引き落とし(郵便局、銀行)です。 振込を選択した場合、毎月納付書が送られてきますが、区役所の窓口で直接交渉すれば、一括払いも可能です。


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概算額と計算シュミレーション

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